2004年カクテル部門人気ランキング            日本ホテルバーメンズ協会調べ           
                BEST 1

バーとカクテルを愛する人たちが必ず筆頭にあげる、カクテルの王様「マティーニ」。もともとは、マティーニ社のベルモットが2/3を占める甘いアペリティフだったが、時代の流れとともにドライ・ジンを使い、ベルモットの量が減って、今ではすっかりドライなカクテルの代名詞となった。チャーチルをはじめ、世界中の著名人がこよなく愛し、ゆえにマティーニの伝説も数多い。ジンとベルモットというシンプルな組み合わせゆえ、かえって奥深いカクテルともいわれ、バーテンダーの技量が試されるカクテルでもある。
 BEST 2
ロサンゼルスのバーテンダー、ジャン・デュレッサー氏が考案したカクテル。カクテル・コンテストの優勝作品で、今や世界的に人気のあるカクテルだが、その誕生のいきさつには悲しい秘話がある。「マルガリータ」とは、彼の亡くなった恋人の名前なのだ。メキシコ人の彼女と狩猟に出かけたとき、不幸にも彼女は流れ弾に当たって亡くなってしまったのだ。悲しみにくれるデュレッサー氏が天国の恋人に捧げたカクテルだからこそ、マルガリータのベースは恋人の故郷の酒テキーラが使われている。
 BEST 3
ギムレットとは、錐とかコルク抜きのことを意味する。キリッと仕上がったあの味を想像するとなるほどと思われがちだが、実際にこのカクテルが誕生した頃は、今のようなドライ・ジンとフレッシュ・ライムではなく、プリマス・ジンとローズ社製のコーディアル・ライム・ジュースでかなり甘かった。誕生したのは、イギリス軍艦の中、軍医ギムレット卿の発案という説がある。ハードボイルド小説の大家レーモンド・チャンドラーが『長いお別れ』の中で主人公フィリップ・マーロウに「ギムレットには早すぎる」の名セリフを言わせて一躍有名になったが、その頃はまだ甘かった。今は、スッキリとドライな味が主流である。
BEST 4
キューバの街サンチャゴ近くの鉱山で働いていたアメリカ人技師たちが、手に入れやすい材料(ラム、ライム、砂糖)を使って作り出したカクテルが原型である。つまり、過酷な炎天下の中、辛い労働のあとの楽しみとして好まれた酒である。のちに、技師の一人ジェニングス・コックスが、鉱山の名前をとって「ダイキリ」と命名した。スッキリとした飲み口は、いかにもそのエピソードをほうふつとさせる。
BEST 5
カクテルの王様マティーニと並び称されるカクテルの女王。昔からパーティには欠かせないカクテルで、スイート・ベルモットを使った甘めの味は女性にも好まれている。誕生の由来は諸説あるが、ニューヨークの銀行家令嬢だったジェニー・ジェロームが、1876年の19代大統領選の時、マンハッタン・クラブで候補者支援パーティを開き、そのとき考案したという説もある。ちなみに、彼女は後にチャーチル(イギリス首相)の母となる。マンハッタンを生んだ母とマティーニを愛した息子。ここにはカクテルをめぐる奇妙な縁が……。
BEST 6
ブランデー・ベースの有名なカクテル「サイド・カー」を、ジン・ベースに代えるとこの「ホワイト・レディ」になる。1919年にロンドンの「シローズ・クラブ」のバーテンダー、ハリー・マッケルホーン氏が考案したが、当初のレシピはジン・ベースではなくクレム・ド・ミントだった。その後、パリの「ハリーズ・ニューヨーク・バー」がベースをジンに代えたところ、たちまち人気が高まったといわれている。甘味と酸味、アルコール度数が上品にバランスのとれたカクテルである。
BEST 7
サイドカーとは、人や荷物をのせる側車付きのオートバイのことで、第1次世界大戦の頃に軍用をはじめ多方面 で活躍した。それが、なぜカクテル名に?いつもサイドカーにのってバーにやってくる兵隊がこのカクテルを好んだことから命名されたといわれる。ただ、パリのハリーズ・ニューヨーク・バーのバーテンダー、ハリー・マッケルホーンの考案という説もある。ブランデーとコアントローの甘味に、レモン・ジュースの酸味が加わり、さっぱりとした甘さが男女を問わず愛されている。
BEST 8
「バラライカ」は、ロシアのギターに似た弦楽器のこと。ウォッカの母国ロシアから連想したカクテル名だろう。やさしく透き通ったバラライカの音色のような味わいを持つカクテルである。このカクテルは、ブランデー・ベースの有名な「サイドカー」のウォッカ・バージョンで、コアントローとレモン・ジュースを使ったカクテルは香りとやさしい甘味に人気があり、この他にもベースをジンに代えると「ホワイト・レディ」、ラム・ベースならば「X.Y.Z.」と姉妹が多い。
BEST 9
バレンシア・オレンジで名高いスペインのバレンシア地方。その名前をそのまま戴いた「バレンシア」は、アプリコット・ブランデーとオレンジ・ジュースがベスト・マッチのカクテルである。陽光ふりそそぐ地中海に面した大地のイメージそのままに、スイートな中にも香り豊かなコクと奥行のある味わい。その特徴を堪能するためにも、オレンジ・ジュースはバレンシア・オレンジを使いたい。
BEST 9
アルファベット3文字が、とても覚えやすいカクテル名。なぜこの名前になったか詳細は不明だが、アルファベットの最後の3文字を使うということは、つまりこれ以上のものはない、これが“究極”のカクテルという意味だという説が定説である。ベースをブランデーに代えると有名な「サイドカー」、ジンなら「ホワイト・レディ」、ウォッカならば「バラライカ」と、姉妹の多いカクテルでもある。それだけ多くの人の好みにあう、バランスのとれた味わいだということだろう。