お酒で体が殺菌できるってホント?

喉が痛かろうが、鼻水が出ようが毎日のようにお酒を飲んじゃう人・・・。あなたの身近にも一人や二人いるのでは?

そんなとき決まって言うのが「大丈夫。アルコールで消毒すれば菌なんて死んじゃうから。」というセリフ。
だけどホントにアルコールで殺菌できるの?

見出し 傷口にプハーッは効果あり

映画や時代劇などで怪我を負った人の傷口に、お酒をプハーッとかけるシーンを時々見かけるが、あれこそまさに消毒のため。
傷口に吹きかけることにより、周囲を殺菌し化膿を予防することができる。

通常医療で使われるアルコールは“メチルアルコール”と呼ばれるものでこれは飲料用としては不可。
戦時中は物資不足のため、飛行機の燃料のメチルアルコールを爆弾焼酎と呼び愛飲していた人もいたそうだが、後に失明してしまうなど人体に悪影響を及ぼすことが多く、飲料用としてはとても危険なアルコールだ。

普段、私たちが飲んでいるアルコールは“エチルアルコール”に属する。
ちなみに東京都渋谷区の地震防災ガイドの非常用備品リストにはウイスキーのポケット瓶が含まれており、「気付けと消毒に使用せよ」とはっきり明記してある。
つまりウイスキーなど、アルコール度の高いものであれば消毒効果が十分にあるというわけだ。
  
見出し 体の内側から殺菌ができるのか?

アルコールには、傷口など体の表面に塗布すれば殺菌効果があることは分かった。
だが、飲用することで体の内側から殺菌し、病原菌を退治することはできるのだろうか。
例えば風邪に効くという卵酒。
果たして卵酒が体内の菌を殺してくれるかどうか。
もし体内を殺菌してくれるのなら、「飲めば飲むほど病気が治る」ということになる。

結論から言えば、アルコールは体内での殺菌効果はない。
なぜならアルコールが分解されてしまうからだ。
アルコールは、アルコールとして存在するから殺菌効果があるのであって、分解されて別の物質になれば殺菌効果もなくなってしまう。
卵酒が風邪にいいのは、卵の栄養分と少量のアルコールを取り入れることにより体が温まるためであり、決して体内を殺菌したためではない。

つまり「アルコールで消毒すれば大丈夫」は半分ホントで半分ウソ。
酒好きの人がいうセリフには「飲んで体内から消毒する」の意味合いが強いから、はっきり言ってただの言い訳に過ぎない。
飲む量が度をすぎれば、かえって体調を悪くするだけなのだ。